赤エイの煮付け

高知のスーパーの鮮魚コーナに赤エイが売られていた。

そこに偶然通りかかった方が「コラーゲンたっぷりで煮付けにして煮凝りが出来て。自分の母も好きなんですよ」

と、電話を取り出しておそらくお母様に電話で話し始めた。

電話を切り赤エイを2パック手にとっていた。

そんなシーンを目の前で見せられたら、

赤エイを食べて見たくなるのが我らの性格。

残りの1パックをカゴに入れてレジを済ませた。

赤エイとは…

軟骨魚類のトビエイ目アカエイ科のアカエイは日本の各地でも食用とされ特に山岳部では正月に食べたりと地域によっては貴重な食材だったようだ。

余談だが自分がタイでダイビングをそしていた時に見てたアオマダラエイと言うエイも同じトビエイ目のアカエイ科で食べて見たかったのでありがたい機会を頂いた。

ちなみにタイではBBQのメニューでエイが売られていた。

赤エイを調理していく。

では早速。用意するもの

赤エイ…ぶつ切り両手で持てるぐらい

ニンニク…3カケ

生姜…親指ぐらい

青いネギ…20センチば

水…3カップ

酒…大さじ2

味醂…大さじ2

醤油…大さじ4

天然塩…3つまみ

※分量は全てざっくり大体それぐらいって事です。

パックに入ったぶつ切りは見慣れない感じだが、これだけ入って300円はお買い得。

太平洋に面してる高知は魚が豊富で、値段も都会のそれとは訳が違う。

大阪で一万で買ったことのあるブリが、高知では二千円で売っている。

天然のタイは誰も食べないと言って、釣り人は何匹でもくれる。

東京で二千円したホウボウは150円で売られている。

高知では魚の値段は当てにならないのだ。

早速パックから取り出し切り身を観察する。

硬骨魚類とは少し違った匂いがあるが、強くはない。

ぶつ切りと言うこともあって骨がどうなってるかとかはよくわからない。

軟骨と言っても結構硬い感じでもある。

身の弾力はデカ目のイカを触ってるみたいな感じ…

先ずは水で滑りを洗い流して、天然塩を降り揉んでおく。

水分と共に雑味や匂いを取る作戦だ。

1時間ぐらい置いたら、もう一度しっかり水あらい。

次に霜降り(さっと下茹で)で更に雑味を取っていく。

鍋に湯を沸かしておいて、そこに身を入れ30秒ほど茹でる。

湯を流し、また流水て丁寧に洗う。

これで下処理が完了。

次に調味料を合す。

今回はチャーシューっぽい味をイメージして煮付けていく。

(前日にタイの煮付けを食べた為、味変で。)

沸騰した湯に酒と味醂を入れ一煮立ち。

アルコールを飛ばす。

今までアルコールを飛ばすなど考えずに一気に炊いていたが、最近はこういう一手間が美味しくするんだと思い自己流で試行錯誤している。

次に薄口醤油を適度に入れる。

これも一度煮立てて香りを飛ばす。

それからニンニクと生姜、ネギの青い所を入れ、天日塩を3つまみ入れて締める。

赤エイを入れる。この時にしっかり身がつかる量だったら嬉しい。

火加減については水滸伝の好漢の一人李逵に見習い、弱火で煮る。

一刻(30分)ほど煮詰めていき、煮汁が半分ほどになったら火を止め、蓋をして一晩寝かす。

煮付けは味が染み込んでなんばだと思っている。

翌日、赤エイ実食。

お皿に盛り付ける。

琥珀色のゼリーに包まれたエイの肉、その上にネギを散らせば完成。

なんとも見慣れない料理。結構なインパクトだが美味しそう。

お箸で掴むと魚の割には崩れそうにない肉質。

一口食べかぶりつく。固く締まった魚肉の食感と無数の軟骨が歯に当たる。

結構硬さを感じるが、ポリポリと普通に噛み砕ける。

なんとも不思議な食材だ。

濃いめの味に煮たからか臭みなどは無くて、逆に言えば特徴の無い味。

とりあいず軟骨の食感が新鮮で、少し驚く。

更に特徴は煮凝りだ。

これは魚系の出汁と醤油味がマッチしご飯が進む。

煮凝りにネギを乗せ、それとご飯をいただく。

言わずもがな、日本酒が光るであろう。

人生初の赤エイの煮付けはいかに

「煮凝りは美味しく、身は何とも不思議なエイ肉であった。」

っと言う感想。

エイならでは?の煮凝りは美味しかったし、300円と言うのもいい。

我らは一物全体食と言って丸ごと食べれるものが好きで

エイは皮も骨も全て頂けるのも魅了的だった。

結果、また次見つけたら買うかと言うと…

正直しばらくは買わないと思う。

理由は説明しずらいが、不味くないのに何故かドキドキするからである。

温めて食べると多少臭みがある、タコのような、潮の臭いというか…

今までもサソリやワニ、カエル、サメなど色んな物を食べたが意外にもエイは苦手な肉だったのかもしれない。

初めて食べる食材に細胞が驚いていると言うのか。

いかにも飽食の時代で贅沢に食べる物を選んでいる事に罪悪感があるが、

なにわともあれ、エイに感謝である。