寒ボラのフルコース

農業のバイトをしてる時に釣りたてのボラを頂いた。

40センチ超えのボラでずんぐりしていた。

タイで一度だけボラを刺身と唐揚げで食べた事があったが、

日本では初めて食べる。

ボラは水底の何かを食べて生息しているためか、住んでいる環境で身に臭みがあるとか言われる魚だ。

しかし、ここ高知では「冬のボラをタイと称して客に出す料理がある。」という話もあるみたいで、

地元の人にも美味しいと噂の魚なのだ。

ってことでそんな話をしてた釣り職人でもある農家さんが、ちょうど釣れた時に持ってきてくれたのであった。

この日の晩御飯はボラのフルコースに決定した。

お品書き

・ボラの刺身と酢締め

・皮の湯引き

・カマと骨の塩焼き

・ボラの水炊き

・雑炊

ボラの刺身と酢締め

三枚に下ろしたボラを好みのサイズに切る。

皮を引き、刺身にする。

半分は味をつけた酢につけて酢締めにする。身が白く茹でたようになった頃合いで引き上げる。

(らっきょ酢に漬けると味も付いていて手軽らしい。)

冬のボラの刺身は脂が乗ってて、めちゃくちゃ美味い。

ハマチやサバのような歯切れの良さと旨みと甘味がある

刺身が美味かったら酢締めも、美味いに決まっている。

より旨みが足されサバ寿司のような感じでご飯が進む。

皮の湯引き

刺身の時に引いた皮を細く切り熱湯にくぐらす。

火が通ったらザルにあげ冷水でしっかり締める。

ポン酢と七味でいただく。

身にはない旨みが皮にあり、甘味もあり、食感が最高で、分厚さもあり食べ応えもある。

臭みはなく、酒飲みには堪らない逸品に。

カマとか骨の塩焼き

捌く際に出る中骨の部分やカマ、背骨部分に天日塩を振り、適度に水分を拭き取る。

お好みで黒胡椒や、醤油みりんなどを塗ってグリルで焼く。

このシンプルな食べ方が一番魚の味がする。

脂が乗ってる部分はジューシーで皮目の旨みも強い。

背骨周りの肉はジャーキーにような仕上がりでこれまた酒盗である。

箸休めに、畑で採れたかぶの漬物

箸休めが食らう年になって来た事を実感する。

ボラの水炊き

三枚に下ろした身から骨を全て取り除き皮を残したまま大きめの切り身にしていく。

皮を表に置き熱湯で霜降りにしておき、水気をしっかり拭き取り皿に盛る。

鍋に水を入れ昆布をつけておき出汁を取っておく。

好みの鍋野菜を準備しておく。

沸いた昆布出汁に身を入れ好みの硬さまで火を通し、ポン酢でいただく。

スッキリした旨みと甘味が何とも上品で驚く。

しっかり目に火を通したり、刺身をしゃぶしゃぶにしたり色んな食べ方でも満足できた。

雑炊

極め付けは翌朝の雑炊。

朝起きると部屋がいい料亭の匂いに包まれており、極上の朝ごはんが想像できる。

濾しておいた出汁を温め、しっかりめに天日塩で味を整えサッと水で洗った冷飯を入れる。

数分後お米がフワッとした頃に溶き卵を回し入れ、火を止め蓋を閉める。

後は食べるだけ。

今まで食べた魚鍋の中でもトップクラスに美味しかった。

とりあいず上品の一言が似合う味わいで、是非また機会があれば頂きたボラのフルコースだった。